今回は旅行記系の小説として超超超有名な「深夜特急1」の続編「深夜特急2」を読了した感想文。
とその前に、先日書いた「深夜特急1」の感想文について。
読み返してみたら「クッソ雑だな、おい」と猛省しているのだが書き直すつもりはない。
アレはアレなのだ。
僕は僕なのだ。
否、直すのがめんどくさいだけなのだ。
「深夜特急2」はマレー半島・シンガポールの話がメインなのだが、途中に作者の沢木耕太郎氏がなぜこんな無謀な旅を始めたのかという理由が書かれている。
むしろその内容の方がいろいろ考えさせられたのだが、巻末の付録がこれまた…。
そんなカオスな1冊である。
「深夜特急1」のおさらい
さっきも書いたのだが「クッソ雑だな、おい」と。
まぁ感想文ではある。
あるんだが、本の中身というよりも僕の思いというか理想というか。
とりあえずなんか吠えてたな自分、みたいな。
酔っ払いながら書いたから仕方ないか。
ってことで、ちゃんと猛省はしているので、簡単にではあるが前作をおさらいしておきたい。
「深夜特急1」は、最初の目的地である香港とその後のマカオを楽しみつくすという旅行記である。
もともとフリーライターだった当時26歳の沢木さんは、ある日、仕事をすべてほっぽり出し単身で海外へ飛んでいくことに。
もともとはインド・デリーからイギリス・ロンドンまでを乗り合いバスで行くという計画であった。
しかし格安航空チケットを手配する際に、インドへ行くまでに他に2国なら追加で立ち寄れることが判明。
ふとした偶然から沢木さんの壮大で奇怪な旅が幕を開ける…という流れ。
お金とパスポート以外に準備した持ちものがコレ(↓)とか、もはや仙人レベル。
- 半袖・長袖シャツ 3枚ずつ
- 靴下 3足
- 水着、サングラス
- 正露丸、抗生物質
- カメラ
- 西南アジア、ヨーロッパの地図
旅のガイドブックは一切なし。スマホというか携帯すらない時代。ヤバくね?
香港では怪しいホテル(通称:黄金宮殿)での滞在生活を楽しみ、ついにはギャンブルに手を出す沢木さん。
日本では味わえない非日常をこれでもか!っていうほど楽しむ沢木さん。
彼の超絶クレイジーな行動力に僕はあこがれとうらやましさを感じずにはいられない。
やっぱり旅はノリと勢い。言葉とかお金なんてどうにでもなるんだなと。
あまりにも香港とマカオが楽しそうに書かれているので、死ぬまでに1回は行ってみたいと思わせてくれた小説だった。
深夜特急2 マレー半島・シンガポール
「深夜特急2」はマレー半島からシンガポールの旅行記。
香港とマカオがあまりに楽しすぎたせいで、タイ、マレーシア、シンガポールでは全然テンション上がってないのがよく分かる1冊。
これぞまさにドキュメンタリー。沢木さん的に東南アジアはクソだったんだろう。
ただ沢木さんらしさは健在。
有名な観光地を巡るのではなく、地元民の匂いが感じられる街へ向かってその国を楽しむ。
マレー半島を縦断する列車に乗ってみたり、わざわざタイの田舎町へ足を運んだり。
そのほか前作から恒例となっている怪しいホテルでの滞在生活など。
ちゃんと沢木ルール(僕が勝手にそう呼んでる)は守られている。
ページをめくるたび「あぁ、海外行きてぇ」「グローバルな風を感じてぇ」と思わせてくれる。
個人的にこの本いちばんの読みどころは沢木さんの回想部分。
1日で会社を辞めたこと。
フリーライターであるがゆえの葛藤。
少しずつ自由が奪われていく毎日。
そして…。
なぜ今回の旅をするに至ったのかがここで明らかに。
そしてシンガポール編の最後、沢木さんはこう綴っている。
タイ、マレーシアも含めシンガポールでも香港のように心が震わなかった。
…。
……。
なんじゃそれ。
次作「深夜特急3」では沢木さんがついにインドの地に降り立つ!
[対談]死に場所を見つける
巻末に掲載されているいわば付録。
まずタイトルにビビる。
さらに対談相手が今は亡き高倉健さんであることにビビる。
そして旅行記本文よりこの対談の方が数倍おもしろいことにビビる。
ホントなんなんだ、この本。
沢木:物というものにこだわり始めれば、お金というものにこだわらざるを得ないし、お金にこだわると、やがて仕事の選択の自由が失われるという循環だったんです。
(中略)
だから、いつでも行きつくところは、どうしてもっと自由自在に、欲しいものは欲しいと言い、欲しくないものは欲しくないと言い、それにとらわれずに、自由に生きていかれないんだろうかと思ってしまうんです。
沢木耕太郎 『深夜特急2(文字拡大増補新版)』 新潮文庫(2020年) p235-236
高倉:僕もそうですね。とってもかたくななところがあるんですね。だから、自分の心に本当に正直に生きたいなと思うのですが、かわいいなと思えばかわいいなと言いたいし、いつも自分の心をねじ曲げて、うそついて生きてきたような気がして、だから、何十本仕事をしても、幾つになっても、自分が幸せだなと思えないんじゃないかと、いま思いはじめているんですけどね。
沢木さんと健さんの対談から一部抜粋。
金の悩みよりも自分のやりたいことや本心の自由が奪われる方がツラい。
深すぎる。
マレー半島とかシンガポールの話、あれはいったい何だったんだろう。
巻末の対談によりメインの内容がすべてかき消されてしまう。
とにかくカオスな1冊であった。
そゆこと!
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